女子高生と魔法のランプ
「え、あー…うん」


やりづらい。
敬語は1番手っ取り早い距離の取り方なのだから、なくしてしまえば瓜はたちまちわからなくなってしまう。

落ち着かなかった。


「さて、名前だな。
おまえなんか良いの考えろよ」

「んぇ」

「まともな返事しねぇ奴だな。名前だよ俺の」


何故自分が命名しなければならないのかさっぱりだが、当の本人は早くしろとでも言うように瓜をねめつける。

しかたないので瓜は考え始める。


「じゃあ…ランでどうでしょ?
ランプのラン」

「安直だな」

それはしかたない。


「よし、じゃあ俺はランだ。
よろしくな、瓜」



差し出された手を少し戸惑いながら取る。
日本に握手の文化は元々ないと思う。
瓜は頭の片隅で考えたが、あまり若い異性に肌同士が触れる機会を持って来なかった。

人懐こい同性に触れられる事はあったが。

考えているくだらない事が自身の照れ隠しだと、瓜本人は気付かない。


なんとなく幽霊などのように実体がないのかもとも思っていたその手は予想を裏切ってがっしりと瓜の華奢な手を覆いじんわりと瓜の脈を速めるように熱を伝えてきた。
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