女子高生と魔法のランプ
「…は?…え?いや……え?」
今度は彼が呆然と、何も装飾の無くなった両手を震わせる。
瓜の方はと言えばやっぱりランプの魔人て事は何百年もランプの中を出たり入ったりしながら生きて来たのかなぁとかうわぁ登場の時も思ってたけど派手な効果とかないのかーなどと考えていた。
「……え、えぇぇぇえ!?うわ、うわ、うわ、え!うあ、ぉい!!おいお前!」
ややパニック気味に完全にキャラ崩壊を起こしたものと思われる魔人が瓜に詰め寄る。
瓜ははぁだかうぇいだかよくわからない返事を返す。
「お前、馬鹿だろ!?」
「はぁ、キャラ完全に変わりましたねぇ」
馬鹿野郎あんなん営業用に決まってんだろと即答された。
「んなこたどうでも良いお前、なんか俺に命令してみろ!なんでも良い!」
「ぅえっ?あー、えーと、じゃ、ランプに戻ってくださ」
「嫌だ!……ああぁ〜〜〜〜っ!本当に俺自由になったんだー!!」
瓜に背を向け勝手にガッツポーズをして狂喜している。
そんな姿を目で追った結果その向こうにある窓が目に入り夕日が沈み切ってしまった事に気が付いた。
「ふ、ふふふ…」
魔人は不気味に笑いを漏らしながらゆっくりとこちらに向き直ってくる。
そして「おいお前!!」と座ったままの瓜を見下した。
「自由にしてくれた事には感謝するが、自由になった以上は願いを叶えてやる義理もねぇ。
いまさら他の願いを言ったって叶わねぇぜ」
「そりゃそうでしょ」
あまりにリアクションの薄い瓜の様子に、魔人は若干落ち着きを取り戻したのか、まじまじと瓜を見る。
瓜は立ち上がるとまた付いた埃が落ちてはくれまいかとゆるゆるとした動作で体を揺らしながら続ける。
「魔人サンの経歴は知らないんですけど、そんなに喜んで貰えたんならよかったです。
じゃ、晩御飯なので私はこれで」