女子高生と魔法のランプ
「…俺に永遠の生を願った奴だっていた」

「死を無くした生はもはや生ではないと思うのですよ。
死に縛られない生はもう生きてはいない。
在るだけです」


人間はね、と付け足してふにゃりと笑う。
どうでもよかった。
人生が大きく変わるような瞬間、自分を中心に激変する世界を見る事は酷く怖く、煩わしい事のように、瓜には思えた。
変わる時は変わるし、変わらないことは変わらないもので、瓜にはそれを変えたいと願うほど執着するものがなかったのだ。


「…ッチ、あー、その、何だ」

「はい?」

「その、あー…」

ズカズカと喋っていた先程とは打って変わり歯切れの悪い態度を見せる魔人に、瓜は取った埃をブラシから取りつつ眺める。
なかなか言い出さず俯いてがしがしと首筋をかく様子を見ながら、動作も若いんだよなぁなどと考えていると、ぼそぼそと聞き取りづらい声が聞こえた。


「れ、礼に、なんか一つ、叶えてやる」

「…いやだから」

「このままハイさよならってのも今までランプの魔人として生きてきた俺の立場ってのがあんだろ!
ちょっとした礼だよ!!」


照れた様子で早口にまくし立てる。
ぽかんとしたまま見ている瓜と目が合うと、少し落ち着いたのか口調が静かになる。

「…言ってみろって」


ばくんと、
本来意識されるはずのない心臓の鼓動を一瞬感じた気がした。

少し低いその声に直接心臓を震わされたようだと感じた。
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