女子高生と魔法のランプ
じゃあ、と、瓜は内心で呟くとそこから空気を震わせた。


「……友達に、なってください」

「…あぁ?」


予想外の言葉に思わず魔人は聞き返す。


「友達ですよ。友人。フレンド」

「言葉の意味はわかってるよ。願いの真意がわからん」


それは今まであらゆる願いを叶えて来た魔人にとってあまりに無利益で願いとしては価値の低いものに思えたのだろう。
怪訝そうな顔をする彼に瓜は柔らかく、無垢なわけではない微笑を向ける。


「さっきも言いましたけど、特別叶えて欲しい願いがないんです。
強いて言うなら、せっかく縁があって出会えたんだから、友達にでもなれれば楽しいかなぁと。
めんどくさいようでしたら、なにかしら別のを考えてみます」


こちらが出した願いでも、断れる事を前提にするのは彼が今自由になったからで、どう考えてもこの願いは強制しては意味を成さなくなるからだ。

魔人はしばらく瓜の顔を穴を穿ちそうな勢いで見ていたが、やがてため息をつきながら呆れたように笑った。


「や、構わねぇよ。
俺も何千年も人間の願いを叶えてきたがお前みたいな変な奴は初めてだ。
なんか興味わいた」

「………面白味は保証できませんけど、うれしいです。
椛山 瓜です。
魔人さんは、名前ないんでしたっけ」

「あぁ、ねぇな。
あと敬語いらね」
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