お箸付けますか?
「…これから暇か?飲み行くから付き合え!メガネ君。」
なんだか飲まなきゃやるせない、なんとも歯痒い気持ちだ。
半ば強引に誘ってみたが、案の定コイツは2つ返事。
そんなメガネ君にあらかじめ忠告をしておいた。
注文は俺を通せと。
レストランを出た俺達は、会社とは反対方向の路地へと入る。
明るいネオンが眩しい飲み屋街。平日はさほど賑わっていないが、週末にもなると近場のサラリーマン達が日頃のうっぷんを晴らすべく賑わう場所。
今日は平日ともあって、ネオンの下を歩く人もまばらだ。
「拓海とよく行ってる飲み屋があるんだ。」
俺の後ろをキョロキョロしながら付いてくる奴に言う。