お箸付けますか?
「馬鹿!静かにしろ!拓海にバレるぞ!」
「…すみません。」
小声でメガネ君を諭す。
キョトンとした拓海が俺達の方へ振り返っていたが、何でもないと手で払う。
落とした焼きそばを拾い上げ、首をかしげながら前に向き直る。どうやら拓海は気付いてない。
「ふぅ…良かったなメガネ君、拓海が鈍い奴で。」
「はい…。」
そう返事をするメガネ君は、何だか怯えた様子…。
「何、怖がってんだよ。」
「だって先輩にバレたから…。」
左手で昼飯達を持ち、右手をメガネ君の肩に回しながらの小声で会話。
「バカ野郎!俺が恋のキューピットになってやるよ。もうお前の恋は叶ったも同然だな。」
1人また1人とレジを後にする客達。気が付けば次は拓海の番だ。
「…それが1番怖いんです。」
拓海が昼飯をレジ前に置いたと同じくして、俺はメガネ君の頭を叩いた。