お箸付けますか?
ドン?
鈍い音と共に、メガネ君が手に持ってたおにぎりが宙を舞う。
おかかが宙を舞う…
綺麗な弧を描きながら…
そしてそれは…
扉が開きっぱなしの…
レンジの中へと…
吸い込まれていった…
………。
「…温めますか?」
「「お願いします!」」
沈黙を破ったメガネガールの問いに、俺と拓海は綺麗にハモった。
うずくまるメガネ君を心配そうにレジをこなすガール。
笑いを堪えて変な顔になってる拓海。
レジ前の荷物を置く取っ手みたいな奴に、腹を打ちながらも好きな人の前だからと平気な顔をするメガネ君。
メガネ君は根性と奇跡を同時に見せてくれた。
いや、魅せてくれた…。