お箸付けますか?
ウィーン…
自動ドアが心なしか元気なく開く。続いて威勢のいい掛け声が背中から聞こえる。
「ありがとうございました〜。」
まだ笑いをこらえてる拓海に続き、俺も店を出る。
俺達に続いて生き霊と化したメガネ君が……
ガン!
威勢のいい掛け声の後に、小さくも大きくもない中途半端な鈍い音が。
拓海と同時に後ろを振り向くと、見事に自動ドアに挟まり、手足をバタバタしているメガネ君。
「ぷっ……ぷっはー!」
必死に笑いをこらえていた拓海もついに吹き出す。
俺も吹き出しそうになったが、メガネ君の気持ちを知っているだけに笑えな……
「ぷっ……ぷはははは!」
笑えた。
ここ何年間で一番面白い出来事が目の前に起きている。