お箸付けますか?
弁解する訳じゃないが、心の中では可哀想に…なんて運が無いんだと思ってはいるが、いかんせん面白い。
『素直な子に育つのよ。』
小さい頃、母に何度もそう聞かされ育った俺は自分に嘘がつけなかった。
むしろ指を指して笑ってしまった。
許せメガネ…そしてありがとう。
そう俺達が腹を抱えて笑っていると、店長っぽい人が慌ててメガネ君に駆け寄る。
「お客様大丈夫ですか?どこか痛む所はございませんか?」
やっと自動ドアに解放され、地面に土下座の様に倒れこんだメガネ君に向かって、慌てながら聞く。
一応先輩な俺は、涙を流しながら笑う拓海を背に、必死に笑いをこらえメガネ君のもとへ。
「おい!大丈夫か?」