お箸付けますか?
「…そっか、知美ちゃんにも宜しく言っといてくれ。」
木彫りと俺に向けられる、好奇な視線を避けながら拓海に言った。
「はい!知美にも喜んでたって伝えます。ちなみに、恋愛成就の木彫りらしいですよそれ。」
恋愛成就……か…。確かに今の俺には神頼みが必要なのかもしれない。
ここはマー様のお力で、飛びっきり可愛い彼女の1人や2人…。
「あっ!」
考えふけってた俺の思考を呼び戻すメガネ君の声。
木彫りを持ち、眺めてたメガネ君の手からマー様が…。
気付いた時には宙を舞ってるマー様。椅子を押し退け、ダイブした時にはもう遅かった。
ポキッ
歯切れのいい音と共に、恋愛成就の木彫りの尻尾が折れ、くるくる回転しながら床を滑って行った。