仮面王子
座り込んでいる私に合わせて、しゃがみこむ蕾斗。
そして、やっと視界が明るくなったかと思いきやまたまた真っ暗‥
「心配かけやがって‥」
私は蕾斗の腕の中にいた。
「っ‥怖かったよぉ‥」
涙は止まったと思ったのに、蕾斗の腕の温もりと安心感から再び涙が溢れてきた。
「もう大丈夫。大丈夫だから」
蕾斗は小さな子供を安心させるように、私の背中をポンポンと叩いた。
「‥ヒック‥らいとぉ‥」
「姫子‥
こんな跡つけられやがって‥」
蕾斗は、男がつけたキスマークを見て、悔しそうに顔を歪めた。
あぁ、私が蕾斗にこんな表情をさせちゃってるんだ。
「蕾斗、ごめんね‥」
そう考えると、余計涙が出てきて、今の私の顔はすごい事になってると思う。
「なに、謝ってんだよ。
さ、こんなとこさっさと出るぞ」
言い終わると同時に私は蕾斗に抱きかかえられた‥
一般的にいう“お姫様抱っこ”というやつをされてるみたいだ。