仮面王子
私が部屋を出ると、外にある自販機の所に涼くんがいた。
「あの‥、どうしたの?」
私が自販機の隣のベンチに腰掛けると、涼くんも隣に座りジュースを手渡してきた。
「ありがとう」
「いーえ」
ニッコリ微笑む涼くんはやっぱり芸能人だ。
プシュッ──
「オレンジ飲めた?」
「あ、大丈夫です」
涼くんは細かい所まで気を配る人だな。
まだ、出会って少ししか経ってないけど、はっきりそれがわかる。
「どうして外に?」
「いや、蕾斗が話してるの見たくないのかなって」
「‥‥いえ、そんなんじゃないんです」
「ふーん‥
そうは見えなかったけどね?」
「私と蕾斗は別にそんなんじゃないんで」
そう‥。
そんなんじゃ‥ない。
だから、私が今怒ってるのは別に‥
好きだからとかそんなんじゃない。