仮面王子
チュンチュン──
小鳥のさえずりが心地よい金曜日の朝。
「ん‥今何時‥?」
目が覚めると自分のベッドの上でいつもの風景。
やっぱり昨日のは夢だったんだろうか‥?
ガチャ──
「おはよ」
「ひゃあっ?!
ノックもなしに入って来ないでよ?!」
「は??もう学校かなと思ったから起こしにきてやったんだろ?」
時計を見ると、確かに学校に行く時間だ。
「でもっ‥」
髪だってボサボサだし、パジャマだし‥
「でも‥?」
さっきまでドアの近くに居たはずの蕾斗が目の前にいた。
「ちょっ‥近いからっ!!
とにかく出てって!」
「姫子、昨日酸欠で倒れたんだぜ?」
そういえば‥
あれからの記憶が‥
「着替えまでしてやったのに、何かしてもらいたいくらいなんですけど?」
そう言うと蕾斗は、少し意地悪な笑みを見せた。
きっ、着替え?!
「変態!ばか!最低!」
蕾斗は途端に真っ赤になる私の反応を見て、楽しんでるみたいだ。
「クスッ‥‥んじゃ、俺仕事行ってくるから」
仕事?
スーツで?
「蕾斗、その格好‥「あ、今日も涼と大人しく帰って来いよ。じゃーな」
私の言葉を遮り自分勝手に言葉を発した蕾斗は言い終えると同時に部屋を出ていった。
まったく何なのよ‥
って、今日も涼くんと?
それこそスキャンダルになりそうな気がするんだけど‥
なんて、思いながら私は準備をして家を出た。