仮面王子
「よし、ここならゆっくり、話を聞けるかな」
葵衣が後輩から仕入れたという、本来なら立ち入り禁止の屋上の合鍵。
さすが葵衣様‥‥
これには、さすがの苺もびっくりなのか、
「わぁ〜♪
屋上とか初めて入った!
さすが葵衣先ぱ〜ぃッ」
なんて、興奮ぎみに話してる。
当の葵衣はと言うと
「はいはい、ありがとう」
なんて、苺の言葉を華麗にスルーしてるし‥
なんだか‥‥
「安心した」
「「え??」」
2人が一斉にこっちを向く。
思わず声に出ちゃってたんだ‥‥
「いや、正直あの報道が出た時、2人とどう接していくか、めちゃくちゃ不安だった」
同じ学校の子があそこまで態度を変えちゃったんだ。
2人だって‥
って、思っちゃう自分が心のどっかにあって‥
「ごめんね?」
「姫‥‥」
ぎゅっ──
「もぉ〜っ、うちらの友情なめんなよっ!」
嬉しい言葉と同時に苺が抱きついてきた。
「まったくバカなんだから」
葵衣はそんな様子を、微笑みながら見てる。
うん。
ありがとう‥
2人が友達で良かった‥。
照れ臭いから、そんな事は言わないけど‥‥
伝わってるよね???