仮面王子
『私が‥‥
私が、わざと転んでRaitoくんに掴まったときにマネージャーに頼んでタイミングよく写真を撮ってもらいました‥』
『‥‥‥ということですみなさん、おわかりですか?』
蕾斗が有無を言わせない笑みで皆を見つめた。
「じゃあRaitoくん、報道のもう1人の方はどうなんですか?」
もう1人の方‥?
あ、私か‥
「さぁて、そろそろかな‥」
「え?」
涼くんが何か呟いた気がしたんだけど‥
『あいつは、俺の特別な人です』
報道陣から、本日3度目のざわめき。
『‥‥‥‥』
私がはっ、とした時にはもう遅くて私は蕾斗の腕の中にいた。
ってか‥
「離してよ。恥ずかしい‥」
一応、小声で頼んでみる。
「姫子、俺の女になれ」
は‥‥‥?
「ククッ‥‥」
涼くんは隣で笑いを噛み殺してこっちを見ていた。
「チッ‥‥」
それを見て舌打ちする蕾斗さん‥‥
怖いっすね‥
「で、姫子。返事は?」
返事‥
うん。
私、蕾斗の事が
「好きだよ」
「は?」
突然の私の言葉に蕾斗はぽかんとした表情。
そして‥
「知ってる‥」
もう一度抱き締め返した蕾斗の腕の中で私は幸せだったんだけど‥
何か忘れてない?