仮面王子
高梨さんが出ていくと、その場になんとも言えない空気が流れた。
「蕾斗くん、やっちゃったね〜」
そんな空気を呆れ顔な社長さんが一気に振り払う。
「あ、大丈夫っすよ。仕事に支障は出しませんから」
まださっき私を抱き止めたままの体制の蕾斗。
なんでこの人こんなに偉そうなんだろう?
この方、社長さんですよね?
一体、蕾斗はどこまで俺様なんだろう‥
「いつかこんな日が来るとは思ってたけど。ね、石川くん?」
「‥‥そうですね」
呆れながらも石川さんは柔らかい笑みを浮かべていた。