仮面王子

「勝手な行動を取った蕾斗にはもっと働いてもらわなきゃなぁ‥」



社長のその一言に、一気に笑顔の石川さん。

そして、相変わらず余裕な蕾斗。



「蕾斗くん、良かったね!」


「‥ん?」



何が良かったの?



「あれ、まさか姫ちゃん知らなかった?」



知らなかったって‥



「何がですか‥「石川、それいいから‥」



何故か蕾斗は私の言葉を遮った。



「また、秘密なの?」



何か最近蕾斗の秘密が増えた気が‥



「蕾斗を謹慎処分にしてたんだよ」


「チッ‥」



秘密主義な蕾斗の代わりに社長さんが答えてくれた。



ってか、この人!

今、社長に向かって舌打ちしたよ?!!


いいのか、これ?!



「謹慎処分‥」



どおりで蕾斗が家にいる時間が多かったわけだ‥



「言っとくけど、お前のせいとかじゃないから。お前は何も気にすんな」


「え‥?」


「まさか姫ちゃんが知らないなんてね‥」



驚いた表情の石川さん。


そういえば暫くテレビとか見てなかったな‥

サイトを見るのは蕾斗に禁止されてたし‥



「姫子ちゃんにはどうしても知られたくなかったみたいだよ?謹慎の事。」



そこで涼くんから明かされる真実。



「‥‥知られたくなかったって‥どうして?」



蕾斗を見るとあのいつもの不機嫌な表情でこっちを睨んできた。



‥‥こわっ。



思わず目反らしちゃったよ‥



「あはは‥

じゃあそろそろ僕たちは帰りましょうか?
ね、社長?」



ほら〜
思わず石川さんの笑みもひきつってるよ!!



「じゃあ、帰るとするか‥

蕾斗、あまり調子に乗るなよ」



わーお‥

笑顔で蕾斗にそんな事言えるのは社長くらいですよ‥



「わぁーってるよ」



また蕾斗は俺様発揮してるし‥



「はっはっは‥」



パタン───



社長は豪快な笑い声を残すと帰って行った。



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