仮面王子
「もう、出るのっ?」
その後を慌てて追いかける。
「おう」
「えっ、でもまだ石川さん来てないよ?」
「今日バイク。じゃーな」
ガチャン──
もぉーっ‥
なによ?!
私たち両想いなんだよね?
なら、どうしてこんなに気まずくなってんの?!
「あ゛ーっ!!
もぉーっ!!」
ガチャ──
「─‥‥‥え?」
「忘れ物」
はは‥
まじで‥?
蕾斗は、玄関に突っ立っている私の横をすり抜けて部屋に戻ると1分もしないうちに戻ってきて靴を履くとこちらに振り向いた。
「お前の声、外に丸聞こえ」
「‥‥っな//」
「クスッ‥近所迷惑になるからあんまり吠えんなよ」
パタン──
言いたい事を言い終えた蕾斗はそそくさと家を出ていった。
ってか‥
「吠えてないもんっ!」
あぁーもーっ!
なんか、上手く行かないな‥。