仮面王子
「今時、カミソリ付きの封筒かよ‥」


「蕾斗‥」



部屋に行ったはずの蕾斗が何故か私の後ろに立っていた。



「姫子、新しい携帯買ってきたよ」


「へ?」



蕾斗はポケットから新しい携帯を取り出すと私に手渡してきた。



「どうして‥?」


「どーせ、迷惑メール着てんだろ?

んな携帯使ってちゃクマ治んねーよ」



メールの事気付いてたんだ‥



「とりあえず指は‥」


「っちょ、蕾斗?!」



私の指を口元に持っていくと傷口を舐める蕾斗‥

って、アンタは吸血鬼か?!



「ん‥?
あ、腕の傷も舐めようか?」



そう言って蕾斗はいつもの意地悪な表情で見つめてくる。

ってか‥



「どうして‥腕の傷の事‥」



知ってるの?

と、聞こうとしたがそれも不可能になってしまった。



「っふぁ‥」



体の芯からとろけちゃいそうな甘いキス‥



「さっき傷口庇ってたから、傷あんのかなって‥」


「どうして‥」



そんなになんでもわかっちゃうの?


蕾斗にばっか甘えてたら私‥



「余計な事は考えるな。お前はただ俺に甘えてればいいんだよ」



蕾斗は、自信満々で、そして俺様な態度でそう言うと、力強い、逞しい腕で抱き締めてきた。




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