仮面王子

私が横に寝ると、首の下に腕を回して腕枕をしてくれる蕾斗。



「姫子‥?」


「ん?」


「別れようとか、バカな真似考えるなよ」



‥‥‥‥‥。


どうしていつもいつも考えがバレてしまうんだ‥?



「‥‥でも‥私と蕾斗は住む世界が違うんだよ?」


「何がだよ?」


「‥‥だって、蕾斗は芸能人じゃん」



ライブに行った時、その現実をしっかりと見せつけられた。

芸能人と一般人という、この現実‥


やっぱり‥
住む世界が違うんだよ‥



「わかった‥」



えっ‥?


─別れるの?



「俺が芸能界を引退すりゃ、いいんだろ?」


「えっ?

違うよ!私が言いたいのはそういう事じゃないよ!」



蕾斗のその言葉に私は思わず起き上がっていた。


それに合わせるように体を起こし、ベッドの枕元の部分に寄りかかる蕾斗。



「何が違う?そういう事だろーがよ?」



そうかもだけど、辞めて欲しいとかそんなのは望んでないもん‥。


私が黙りこんでいると一つ息を吐くと蕾斗が口を開いた。



「前から思ってたんだけど、姫子はさ、芸能人とか一般人とかこだわりすぎなんだよ」



‥‥どういうこと?



「芸能人も一般人も中身は同じ人間だぜ?お前、それを忘れてないか?」



同じ人間とか‥わかってるもん‥‥。




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