死のメール

③メール送信中…

「パパ、起きて。パパ。」
「…うーん…ん?」

 夜中に慶嘉が寝ている俺を起こしにきた。
寝呆けながらも俺は立ち上がると慶嘉は俺を連れて外へ出た。
そして慶嘉は思いも寄らない言葉を口にしてきたのだった。

「ママね、自分で死んだんじゃないんだよ。ママは…殺されちゃったんだ
よ。」
「…え?」

 一瞬頭の中が真っ白になったような気がした。
友嘉は自殺したのではなく、殺されたのだと。
そう頭の中で言葉が繰り返され、自然と涙が頬を伝っていた。
慶嘉は涙を流している俺のところへ来て俺を地面に座らせると俺の額に手を当
ててきた。
これは慶嘉が超能力を使う合図である。

「パパ…ママの過去を見せてあげる。辛いかもしれないけど…現実を受けとめ
てあげて。一番辛いのはママなんだから。」

 友嘉が殺されるときの記憶…
俺は閉じていた目を静かに開けた。
すると目の前に現れた光景は高校一年生の時の教室だった。
其処へジャージを着た友嘉が現れた。

「友…」

 友嘉に近付き友嘉の体に触れようとしたが俺の手は友嘉の体を貫通してし
まった。
そこでこれは単なる記憶に過ぎないと確信したのだった。

 すると友嘉の許へいじめグループの女子達がやってきた。

『高畑さん、鷹野君が屋上に来てって言ってたよ。』
『…ありがとう。』

 友嘉はお礼だけ言って立ち上がると屋上に歩いていってしまった。

 この時これがこいつらの仕組んだ罠だと気付いたのは女子の一人が言った言
葉を聞いてからだった。

『今日は高畑の死亡記念日になるね~。』
『いよいよあいつの事楽にしてあげられるよぉ。うちらって超優しい~。』
『きゃはははは!!』

 …俺は悪魔のような女たちを、初めて見た。
もし今これが記憶ではなく現実ならばこの女たちを殴り飛ばしているだろう。
醜いのは男だけではなく、このような悪の心を持った女たちもまた、酷く醜い
ものだった。
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