死のメール

②悪魔の会話

「慶ちゃん、ご飯だよ。」
「ん?もうそんな時間かぁ~…」

 どうやら戻ってきて体内に入った瞬間眠ってしまったらしい。
まだ慣れない幽体離脱を長時間しているのは難しいと思いながら俺は食卓に向
かった。
三人で床に座り、『いただきます。』と声を揃えて言い食べ始めようとすると慶
嘉が今日の呪いの事を友嘉に話し始めた。

「ねぇママ、今日は二人も人を殺せたんだよ。」
「そうだったの。さすが慶嘉はママの子供ね。」
「でしょ。」

友嘉は慶嘉の頭を撫で、慶嘉を誉めていた。

 本当に五歳児と母親の会話なのだろうか、と思ってしまう程二人は凄い会話を
していると思った。
しかも、食事中に…
だが俺は目の前で人が死ぬ光景をもう三度も見ているのでわざわざ驚くこともな
かったのだった。

 そしてその日の夜中、友嘉と慶嘉が俺たちの寝室の隣の部屋で何やら秘密話の
ような物をしていた。

「じゃあ、この事はママがパパに言ってね。おやすみなさい。」
「うん、おやすみ。あ、慶嘉。無理してやらなくていいからね…呪い。」
「慶嘉はやりたいからやってるだけだよ。」
「なら良いけど…じゃあ今度こそおやすみ。」
「おやすみなさい。」

 慶嘉が自分の寝室に行き、友嘉が自分の寝室に戻ってきた。

「あれ、慶ちゃん…起きてたの?」
「まぁね。…あのさ、友嘉。話って何?」
「あぁ…そのことね。実はね…私たち、本当は人間じゃないの。」

 人間じゃない?
最初友嘉の言葉の意味が分からずに俺はただ首を傾げていた。
『口だけで説明されても分からないよね…』
友嘉はそう言うと指を鳴らした。
すると友嘉の短かった髪が急に伸びたのである。
俺は唖然とその光景を見つめていた。

「私たちは悪魔の血と人間の血が混ざった種族…人を…」

友嘉に依ると、最後のターゲットを決め、その周りの大切な物を殺した後に最後
のターゲットを殺すと本物の悪魔になれるという。
だが、友嘉が人を呪い殺したという噂は聞いたことが無かった。
それなのに何故友嘉は本物の悪魔になれたのだろうか?
すると友嘉はこんな事を口にしてきた。

「私、人を呪い殺したことあるんだ…実の父親を…殺しちゃった。」
「…友嘉…」
< 17 / 26 >

この作品をシェア

pagetop