死のメール
 友嘉の家系は必ず女が悪魔に生まれるという。
仮に男が生まれたとしても悪魔にはならず、普通の人間に生まれてくるらしい。
そのために友嘉は慶嘉を生んだのだった。

女が生まれてこなければこの家系で代々受け継がれている悪魔という種族が居な
くなってしまうそうだ。

 そして友嘉は実の父親を殺した。その理由はこうだ。

 友嘉の父親は友嘉の母親が悪魔だと知ったその日から母親に暴力を振るい始め
た。
だが結局友嘉の事は母親が生んでしまい、頭にきた父親はまだ生まれたばかりの
友嘉を虐待し始めたのだった。
友嘉の母親は家のしきたりなど考えずに自分の大事な娘を体を張って守っていた
という。

 友嘉は一歳になるまでに超能力、霊力、呪いの使い方を覚えたらしい。
そして友嘉は周りの人間を殺さずに父親だけを呪い殺し、僅か一歳という幼さで
悪魔の一員となってしまったのだった。

 友嘉が悪魔になる事を無事見届けた友嘉の母親は友嘉が悪魔になったその三日
後に息を引き取ってしまったのだという。
友嘉の母親が亡くなった原因は父親からの暴力をまともに受けていたためだっ
た。
つまり友嘉の母親は気力だけで生き、友嘉を守り続けていたというわけだ。

「慶ちゃん…こんな奴で良いの?こんな悪魔で良いの?」

 友嘉は涙を流しながら俺の目を真っすぐ見つめてきた。
俺は『ふっ』と笑うと友嘉を抱き締め、そのまま布団の上に友嘉を押し倒した。

「…慶…ちゃん?」
「そっちこそ後悔するなよ?後で泣き喚くのは友嘉になるかもしれないから。」
「…後悔なんか…しないもん。慶ちゃんは私の世界で一番好きな人なんだか
ら。」
「死んでも…愛してるから。後悔するほど愛し続けてやる。」
「…私も。」
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