死のメール
「お帰り、慶嘉。」
「ただいま。」

慶嘉は自分の体に戻ると走ってきて友嘉の膝に座った。

「ん?どうしたの?慶嘉。」
「ママを殺した奴…醜いね。凄く醜い。」

慶嘉は俺と同じような事を考えていたらしい。
さすが親子なだけあるな、と俺は思ってしまった。

 こうして慶嘉は今日も一人の人間を呪い殺すことに成功したのだった。
明日はいよいよ主犯人を呪い殺すと慶嘉は言って居る。
果たして慶嘉の呪いはちゃんと成功するのだろうか。
そんな不安を胸に持ちながら俺たち三人は朝を迎えた。

 翌日、彩織は学校に行く準備をしていた。
未だ放心状態になりながらも何とか制服を着て鞄を持つと家を出た。

 玄関を出るとそこにはパジャマを着た一人の男の子が背を向けて立っていた。
彩織はその男を無視して通ろうとすると男は首を180度回転させ、彩織を睨ん
でいた。
その男は前日に窒息死した双子の弟の卓哉であった。

「何でだよぉ…何で俺が死ななきゃいけなかったんだよぉ…」
「ひぃ!いやああああ!!」

卓哉は涙を流しながら彩織の手を掴んできた。
彩織は卓哉に掴まれた腕を振りほどくと卓哉を突き飛ばし、学校へと走っていっ
た。
突き飛ばされた卓哉は「姉貴ぃ~」と言いながら地面を這い、ゆっくり、ゆっく
りと彩織の後をついていった。

 彩織は放心状態のまま無我夢中で走り、学校まで着くのに物の数分と掛からな
かった。

「あの、すみません!」
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