死のメール

　後ろから美形な男子高校生が彩織に声をかけてきた。
彩織は最初びくっとしていたが普通の人間だと分かると一安心し、その男子高校
生と会話を進めていた。

　すると彩織の走ってきた方向から、ずるっ…ずるっ…という音が聞こえ、音の
する方からは卓哉が地面を這いつくばって自分の姉を捜しにきたのだった。

「きゃあああ！！」

　彩織はまたパニック状態になり、大声で騒ぐと校内に逃げ出そうとした。
ところが逃げ出そうとする彩織の手を男子高校生が掴み、彩織を引き止めた。

「放して！お願い！弟が私を殺そうとしてるの！やめてぇ！！」
「ははっ、なぁんだ。そんな事？だったら僕も同じかもしれないな。」

　そう言った男子高校生の顔は見る見る内に変形していき、事故でぐしゃぐしゃ
になってしまった敬志の顔になっていた。
最終的には二つの目玉がころんと抜けて地面に落ちた。

「俺の顔をこんなぐしゃぐしゃにしたのは…お前だ彩織ぃ～！！」

地面に落ちている二つの目がぎろりと彩織の顔を見上げ、睨んでいた。

　彩織は震えながら『ああーっ！！』と叫んで敬志の手を振りほどくと卓哉と敬
志の二人を残して校内に逃げ込んでいった。