死のメール
そして上履きも履かずに我を忘れて階段を駆け登っていると上から降りてきた
一人の女子に思い切りぶつかり、その女子は階段から真っ逆さまに踊り場に落
ちて頭から大量の血を流していた。

「あ…あぁ…」

 その女子は瞑っていた目をかっと開くとゆらゆらと揺れながら立ち上がり、
下からゆっくりと彩織の方へ歩いていった。
もう此処まで来ればお分りだと思うが、この女子は一番最初に慶嘉の呪いで殺
された香理であった。

「生きたかったよぉ…もっと生きたかったよぉ~…」

香理は目から涙ではなく、血を流し彩織に睨みを利かせていた。

「来るな化け物ぉ~!!」

彩織は香理にバッグを投げ付け、バッグが当たった香理はよろめいてその場に座
り込んだ。

 つい数日前まで親友だった香理を、彼氏だった敬志を、弟だった卓哉を彩織は
『化け物』扱いしていた。
自分も後数分で化け物になるということを知らずに…。

 そして屋上に出た彩織はふらつきながら歩き、フェンスの前で座り込んだ。

「何でよ…どうしてよ…何であたしがこんな目に合わなきゃいけないのよ…」
「まだ分からないの?慶嘉は貴女がしたことと同じ事をママの代わりにしてるだ
けなんだよ。」
 いつのまにか慶嘉が彩織の後ろに現れていた。
彩織はバッ!と慶嘉の方に振り返り、一歩一歩後退りするとフェンスを壁にして
寄り掛かった。

「ママの代わり?ふ、ふふ…一体何の事を言って居るの?…まさか…」

彩織は青ざめた顔をして慶嘉を見つめた。
慶嘉は彩織を見下すように笑い、こう言った。

「そうだよ。慶嘉は二年前に殺された高畑 友嘉の娘なの。ママの仇をとるため
に、慶嘉は貴女を呪い殺しにきた。」
「い、嫌…止めてお願い!殺さないで!何でもするから!あたしの宝物はあたし
自身なの!お願い!!」
「慶嘉のお仕事はその宝物を無くす事なんだよ。それに貴女は慶嘉とパパの宝物
をゴミのように扱い、捨てた。だから慶嘉も同じ事してあげる~。」
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