幕末Drug。
屯所に着くと、玄関先に斎藤さんが居た。
『…お帰りなさい。』
静かに挨拶をするも、やはり目は笑っていない。
『たっだいまー、一君。』
沖田さんが飄々と挨拶を交わす。
『遅くなったな。…近藤さんに話がある、悪いが今夜は左之助と巡回に出て貰えないか?…目障りな輩が徘徊している。』
『…分かりました。』
斎藤さんは顔色一つ変えずに頷いた。
土方さんの後ろに隠れるようにしながら、雛が頭を下げる。今はまだ、話せる状況ではないようだ。
『あの…只今、です。』
何か言わなくては、と私も口を開いた。
『………。』
しかし斎藤さんは、チラッと私を見ただけで直ぐに視線を逸らしてしまった。
嫌われ、てるのかな…?
私自身元々愛想の良い方では無いし、もしかしたら斎藤さんも絡みづらいと思ってるのかもしれない。
…うん、きっとそう。
其の侭斎藤さんの横を通り過ぎると、土方さん達の後ろに付いて近藤さんの部屋へと向かった。