幕末Drug。
『…行きません。』
『…え?』
『沖田さんと、一緒に行きます。』
『…え。』
私の発言に、呆気に取られた様子で目を見開く沖田さん。
---数秒後、其の表情は直ぐに崩れた。
『…っはは!君にはホント…敵わないな。心配させて、ごめんね。』
沖田さんはそう言うと、不意に私の顔を覗き込んだ。
『…部屋、来る?』
口許を悪戯に吊り上げる沖田さん。
『…え?』
『俺の部屋。此処で待ってんのも寒いだろうし。』
『…え。』
今度は私が目を見開いた。
『直ぐ着替えるからさ?…おいでよ。』
沖田さんの真っ直ぐな瞳。
気付くと私は、頷いていた。
『よし…それじゃ、行こうか。』
満足そうに笑う沖田さんが、なんだか子供の様に見えた。
『…君ってさ、ホントに変わってるよね。』
廊下を歩いていると、沖田さんが笑い混じりにそう呟いた。
『どういう意味ですか?』
『怖くないの?…俺達の事。』
沖田さんの声のトーンが、僅かに低くなる。
『人斬り集団の新撰組。…俺達は、そういう危ない人の集まりらしいからさ?…自覚はないけど。』
…人斬り、集団。