幕末Drug。
一通り支度が整うと、右から藍さん、雛、私の順番で寝床へと入った。
『はあー…やっとゆっくり眠れる!』
仕事が終わってから一睡もしていなかった私達には、柔らかな布団が有り難かった。
『寝る程楽はなかりけり、浮世の馬鹿は起きて働く!…って言うもんね。』
寝っころがりながら、雛が楽しそうに告げた。
『それ、誰の言葉?』
『うちのお母さん。』
『……。』
相変わらず、適当な雛。
それは雛の家でしか通じないネタだよと言いたい気持ちをぐっと堪えて、目を閉じた。
…嗚呼、色んな事があったな。
強盗に襲われたり…扉がスライドしたり…
刀を向けられたり…みたらし団子食べたり…
どれも現実だと思うと、この一日は物凄く濃い一日だった。
…きっと此処で過ごす毎日は、もっと密度の高い一日になるに違いない。
歴史に名を残す新撰組…
きっと彼等と出逢えたのは、運命以外の何者でもない。
一期一会…この出会いを大切にしたい。
そう思いながら、私は深い眠りへと落ちていった。