『Memory's Messiah』(ダークファンタジー)
第20章『茂』
第1節『孤独からの抜け道』


茂が10歳の少年だった時の回想シーン。


薄暗い部屋に一人で勉強机に向かい、パソコンを打ち続けている茂。


パソコンの音『カチカチカチカチ…』


茂[少年]『ふ〜…』


茂は溜め息を尽きながら、ただひたすらパソコンの画面を見ていた。


茂[少年](くだらねぇ…)

茂[少年](これが、大学の入試かよ…皆大人の癖に… バカだなぁ…こんなのも解けない奴が居るのかよ…)


茂が居る部屋のドアを少し開け、パソコンに向かう茂の様子を見て、小声で話す茂の両親。


茂の母『あの子、一体何してるのかしら…』


茂の父『どうせまた自分で作ったコンピューターソフトか何かを使って、趣味の“ハッキングごっこ”だろ…』


茂の母『何だか“気持ち悪い”のよねぇ…あの子…』

茂の部屋のドアを閉めて、リビングに向かう茂の両親。


その二人部屋から離れた両親を横目で追う茂。


茂[少年](全部聴こえてるっての…)


イラツイタ茂は机を一発殴りながら、顔を伏せながら涙を流す。


茂[少年](何で俺、生まれて来たんだろう…)


茂[少年](俺は何で皆から嫌われてるんだろう…俺は何も悪くないのに……)


そんな茂の耳にリビングで話す両親の会話が聞こえて来た。


茂の母『何が“IQ380”よ…頭が良いだけで、それ以外、何の取り柄も無いわ…何を考えてるのかすら分からないわ…』


茂の母『近所の人や親戚の人達からは、“良いなぁ”とか“羨ましい”とか“私の子も茂君見たいだったら良かったのに”って言うけど、皆知らないだけのよ…あの子の“異常さ”を』
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