『Memory's Messiah』（ダークファンタジー）

第4節『“もう一つ”の世界』

茂は“Memory社”に関する全ての記憶と、茂が今まで調べ上げた“Memory社”に関する全てのデータが詰まっていたパソコンを奪われた。


更に茂は、自分が“ハッカー”だった事も忘れ、茂は文字通り“全てを失った”かに見えた…


しかし、ただ“一つ”新道に奪われなかった物が有った


それは茂が産まれながらにして持っていた“世界一の頭脳”だった


茂が12歳の時の回想シーン。


この時の世界は、“まだ”新道が世界を統一したままで、茂は、自分の脳の中にチップが埋め込まれて居る事など知らず、普通に日常を過ごしていた。


更に、“この時”の世界中の人々の記憶からは茂は“ただの12歳の少年”としての記憶しかなく、茂自身も自分が世界一の頭脳だと言う事も忘れていた。


つまり、“天才ハッカー”など存在しない“もう一つの世界”だった。


茂がチップを入れられた次の日の朝。


茂は何事も無かったかの様に、自分の部屋のベッドの上で目を覚ます。


ベッドで寝ている茂に、茂の部屋のドアの前から、茂の母の声が聴こえた。


茂の母『しげる〜起きなさ〜い。学校に遅れるわよ〜』


母の声に気付き、寝ぼけながら、半分目を覚ます茂。

茂[少年]『う〜…もうちょっと寝かして〜…』


茂の母『速く起きなさい』


再び母の声で茂は目を覚ました。


茂は起きてすぐに、激しい頭痛に見舞われる。


茂[少年]『うっ…』


茂[少年]（痛ってぇ〜…）

茂が激しい頭痛で頭を押さえた。


茂[少年]『何だ？…マジ痛てぇ…どっかぶつけたかなぁ？…』


茂の耳に、再び母の声が聴こえて来た。


茂の母『茂？起きてる？』

茂[少年]『うん…もう起きてるよ〜…』


茂の母『起きたなら速くこっちに来なさい、ご飯冷めちゃうでしょ？』


茂[少年]『分かったよ…今行くよ…』


茂は自分の部屋を出て、リビングで朝食を食べながら両親に頭痛を訴える。


茂[少年]『ねぇ、今日起きたら、凄く頭が痛いんだけど…』