緊急HR
深い鈍色をした…鋭利な刃物だったのだ。
それは青木の頬をかすめ、後ろのコルクの掲示板に刺さった。
『…こういう事だ』
斉木はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
ツー…
.●・..・●.・
青木の左頬から真っ赤な血が流れる。
同時に、クラス中の人間の血の気が引いていった。
『きゃぁあっ!!!』
思わず悲鳴をあげる女子。
俺も…いや、皆どうしたらいいのか分からないようで、とりあえず席を立ち上がった。
『次は首、狙うからな』
斉木は再びスラリと輝いた刃物を取り出し、峰の部分を舌で軽く舐めた。
それを見て、俺らは本格的に動揺の色を見せ始める。
『オイ…こいつマジで殺る気だよ!!』
『逃げた方が…』
ウェーブのかかった茶髪の田嶋が、ドアに向かって走り出そうとした。
……が、斉木はそれを見逃さなかった。