緊急HR
ザッ!!!!



…ブシュッ!!!


.●・..・●.・


斉木の放った刃物が、田嶋の首に直撃した。


投げた事さえ気がつかない程の早業に、ついていけなかった。


『…あぁあぁあ!!!』


田嶋はガクッとその場に倒れ込んだ。

ポタポタというよりドバドバと、首筋から地面へ……溢れる程の血が滴っていく。


『いやぁあ!!!ノリィイィ!!!!!』


近くに居た黒髪セミロングの金澤が、必死に田嶋の名を叫ぶ。

しかし近づこうにも、目の前の出来事に圧倒され、恐怖で足が動かないようだ。

逆に、入り口付近で血を流しうずくまる田嶋には近づきまいと

俺らは逃げ場のない窓側へ集まってしまった。


『緊急HRはもう始まってるんだ…
次は首狙うって…言ったよな?』


田嶋を見つめる斉木の言葉そのものが、俺たちには凶器のようだった。


『いやだぁあ…ノリ……』


ぐったりする田嶋を見て、金澤はペタリと床に座り込み、ボロボロと涙を流し始めた。


『夏奈子(かなこ)!!す、座ってたら殺されちゃうよぉ…!!』


俺の近くに居る茶髪のフワフワショートヘア、花山が震える声で金澤に呼び掛ける。

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