緊急HR

ズダダダダ……!!!!

斉木が教卓の横に来たのを見計らって、いきなり誰かが教卓を逆側から一気に押し、斉木ごと動かした。


『なっ……』


バンッ!!


斉木は、思いっきり壁に打ち付けられた。

教卓と壁とのサンドイッチ状態になったのだ。


『っ……の…』


そうやってとっさの判断で金澤達の窮地を脱出させたヤツは……







『!長曽根!!!』


『…行け!!早く!!!』


長曽根は、充血した目を見開き、斉木が出てこれないよう教卓を抑えながら叫んだ。


『な…何言ってんだよ!!お前置いて行け……』


『うわぁあぁ!!』


『!?』


突然俺の横から叫び声を上げたのは黒髪、マッシュルーム頭の安田忠彦(やすだ ただひこ)。


うずくまる田嶋を平気で飛び越え、血相を変えて教室を出ていった。


『オイ、安田!!』


『…殺されてたまるかぁあぁあぁ………!!!』




俺の言葉は虚しく、安田の声は、あっという間に遠くへと消えていった…

< 14 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop