緊急HR
ズダダダダ……!!!!
斉木が教卓の横に来たのを見計らって、いきなり誰かが教卓を逆側から一気に押し、斉木ごと動かした。
『なっ……』
バンッ!!
斉木は、思いっきり壁に打ち付けられた。
教卓と壁とのサンドイッチ状態になったのだ。
『っ……の…』
そうやってとっさの判断で金澤達の窮地を脱出させたヤツは……
『!長曽根!!!』
『…行け!!早く!!!』
長曽根は、充血した目を見開き、斉木が出てこれないよう教卓を抑えながら叫んだ。
『な…何言ってんだよ!!お前置いて行け……』
『うわぁあぁ!!』
『!?』
突然俺の横から叫び声を上げたのは黒髪、マッシュルーム頭の安田忠彦(やすだ ただひこ)。
うずくまる田嶋を平気で飛び越え、血相を変えて教室を出ていった。
『オイ、安田!!』
『…殺されてたまるかぁあぁあぁ………!!!』
俺の言葉は虚しく、安田の声は、あっという間に遠くへと消えていった…