緊急HR
数学科、斉木数彦のチョーク
キーンコーン…
鳴ってしまった。
1時間目開始を知らせるチャイムが。
だが皆まだ席には着かず、それぞれクラスメイトと話をしている。
そんな中俺は、席に着いてはいたが、右隣の上沢(かみさわ)と話を弾ませていた。
『マジさー1時間目から斉木(さいき)とかないよねー』
『なーっ』
高校に入って、新しく始まる授業に期待をしていたのだが、中学の時とあまり変わっていない。
むしろ、ダルさがグレードアップした気がする。
ここ、県立梨越(なしごえ)高等学校は、レベルでいうと中の下。
別に良くも悪くもないといった感じだ。
規律が厳しいわけでもないし、別に不満はない。
ただ、毎日同じような生活を過ごすのに、少し嫌気がさしただけだ。