緊急HR
『うっ…』

『上さ…あ!!』

その瞬間、俺が握っていた上沢の腕は、ズルリと抜け落ちた。

【しまった…!!】

俺と上沢を繋ぐものは、なくなってしまったのだ。

『麻里と同じようにしてあげるよ…』

馬乗りになった柏倉は、目とナイフを輝かせる。

『い…いや……』

上沢は恐怖に顔を歪め、目に涙を溜めた。

『っやめろぉおぉ!!』

俺は奴に飛びついた。

瞬間、柏倉の体は浮き、後ろの実験台と化した机にガン、と頭をぶつけた。

『ひ…っ』

束縛が解けた上沢は、痛みに耐えながら後退りをし、中島の後ろに隠れる。

頭を打った柏倉は、一瞬くらりと意識が遠のいた。

その隙に俺は奴の左手に持たれたままのナイフを奪い取った。

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