緊急HR
『行くぞ!!!』

そんな俺とは違い、現状に動じる事ない中島。

『上沢…もうちょっと我慢しろよ!!』

右足の出血が治まらないが、彼女は歯を食いしばりながら頷き、中島の腕を掴んだ。

『安藤!!そこにかけてある鍵、持ってきて!!!』

中島は入口付近に向かって指を差した。

俺は言われた通り、電気スイッチの上にフックでかけられている理科室の鍵を手に取った。

何故必要なのか理由は聞かなかった。


俺は先導する中島に続いた。

柏倉の叫び声は、距離をあけてもなお続いている。

その声を無理矢理振り切り、床に倒れた生徒の体を跨いで、後ろのドアの前まで来た。

しかし、ここは…

『おい中島…こっちは開かないだろ!!』

鍵があったって、外側からロックしてあっては、出られるハズがない。

そんな逃げ道のない場所に居て、もし柏倉が襲いかかってきたら袋のネズミだ。

< 44 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop