緊急HR
柏倉は机の上に置いてあった試験管を、しっかりと閉められたドアに投げつけた。

『…くそ…くそぉおぉ!!!!!!!!』

奴の叫び声が、地獄と化した理科室内に籠る。



―そして柏倉 真生は


意識を失った…






『はぁ…はぁ…やっと…抜け出せたな…』

扉の外で、息絶え絶えになりながら軽くハイタッチをする俺と中島。

今の一瞬で、恐怖と緊張と安堵が一気に体に染み込んだ。

もうワケが分からない。

しかし確かなのは、俺達は"生きている"という事だ…

『上沢…』

俺は彼女の方を見た。

柏倉に殺されかけたんだ。

怖かったろうな…

震えているに違いない。


…そう思っていたが、上沢はじっと扉を見つめているだけだった。

『?上沢…』



すると彼女は






『ばいばい……麻里』


そう一言呟いて、静かに涙を流した。


『………』


俺達は、ただそれを黙って見ている事しか出来なかった…





1年3組 出席簿

【20番 西村 麻里】




【欠席】




2時間目『サバイバル』


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