緊急HR

そして、今日もそんな学校の授業が始まりを迎えるのだ。



ガラッ


教室の前のドアが開いた。


入ってきたのは、チェックのポロシャツをズボンの中に入れた

小太り中年の男、数学科の斉木数彦(かずひこ)だった。


『はい始めんぞー号令は…安藤だな』


号令係の俺は、自分の名が呼ばれると

手っ取り早く《気をつけー礼ー》と言った。

しかし、皆礼をすることなく黙ってノートを開いた。


『じゃあこの前の続きからー…』


斉木は特に気にすることなく授業を始めた。

コイツは、途中誰も指す事なく自分で勝手に進めていってしまう。

だから、ペースについていけないし、質問してもよくわからない解説だけが返ってくるのだ。

理解出来ないまま迎えるテストは大変だが、逆に授業中は気楽でいられる。






しかし今日は……






違った。

< 5 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop