緊急HR
そして、今日もそんな学校の授業が始まりを迎えるのだ。
ガラッ
教室の前のドアが開いた。
入ってきたのは、チェックのポロシャツをズボンの中に入れた
小太り中年の男、数学科の斉木数彦(かずひこ)だった。
『はい始めんぞー号令は…安藤だな』
号令係の俺は、自分の名が呼ばれると
手っ取り早く《気をつけー礼ー》と言った。
しかし、皆礼をすることなく黙ってノートを開いた。
『じゃあこの前の続きからー…』
斉木は特に気にすることなく授業を始めた。
コイツは、途中誰も指す事なく自分で勝手に進めていってしまう。
だから、ペースについていけないし、質問してもよくわからない解説だけが返ってくるのだ。
理解出来ないまま迎えるテストは大変だが、逆に授業中は気楽でいられる。
しかし今日は……
違った。