君に秘密の恋
状況が把握出来た時には、あたしの体は健一の腕の中に収まっていた。


嬉しさよりも恥ずかしさが先立って、彼の腕を退かそうと試みる。


だけど、健一は益々腕に力を入れて、あたしの体をきつく抱き締めた。


「健一……?」


小さく呟いた名前が切なくて、胸の奥を締め付ける。


だけど…


あたしの感情の全てが、愛おしさで溢れていた。


ドキドキと響いている心臓の音は、どちらの物かわからなかったけど…


すごく幸せな音だと思った。


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