君に秘密の恋
「べっ、別に隣だしっ……!」


いつもと違う健一の態度に動揺したあたしは、ぶっきらぼうに返してしまった。


「可愛くねぇ……」


ボソッと呟いた彼が、あからさまなため息を漏らす。


ムカつくっ……!


「どうせあたしは、紫みたいに可愛くないですよーっ!!」


放った言葉に皮肉をたっぷり込めて、逃げるように健一の家を後にした。


最悪……


いつも憎まれ口しか叩けない自分が、心底恨めしい。


せっかく、珍しく健一が優しかったのに…。


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