君に秘密の恋
「さっきの話って?」


「べ、別に……」


あたしは健一に曖昧な返事を残し、リビングを出て玄関に向かった。


「紫は?」


「もう帰った。千晶によろしくってさ」


「そっか……。じゃあ、あたしも帰るね」


小さく笑みを浮かべ、靴を履く。


「なぁ、千晶」


「……何?」


「さっきの話だけど……。恋の先輩の言う事は、ちゃんと聞くべきだと思うんだけど……」


何となく気まずさを感じながら振り返ると、健二が控えめに言った。


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