君に秘密の恋
「健一は?」


あたしが訊き返すと、健一はベランダの柵に背中を預けて口を開いた。


「俺は就職するかも……」


「えっ!?就職!?」


てっきり健一も進学するんだと思い込んでいたから、予想もしていなかった答えに驚いてしまった。


「あぁ、たぶんな」


「本当に進学しないの……?」


「勉強、好きじゃねぇし……」


「あたしだって、別に勉強が好きな訳じゃないよ……」


ため息混じりに言った健一に、同意するように呟いた。


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