君に秘密の恋
「でも、お前はやりたい事があるんだろ?」


「まぁ、そうだけど……」


あたしを見た健一に、小さく答えた。


「何だっけ?」


「保育士……」


まだ少しだけ曖昧な夢を答えると、健一は小さく笑った。


「俺は、別にやりたい事もねぇからさ……」


あたしは、彼の話を黙って聞いていた。


「目標もねぇのに、高い学費払って大学行かせて貰うなんて、親に悪いからな……」


ため息混じりに夜空を仰いだ健一は、どこか寂しそうにも見えた。


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