君に秘密の恋
まだ曖昧な状態のあたしなんかよりも、健一の方が未来(サキ)の事をしっかりと考えていて…


いつも言い合いばかりしていた彼の、意外な一面を見た気がした。


「来年はやっと離れられるかもな」


「え?」


「クラス。中学の時から、ずっと一緒だっただろ?」


「あっ、そっか……」


「進学と就職なら、確実にクラスは違うだろうな。やっとお前と離れられると思うと、清々(セイセイ)するよ」


健一はそこまで話した後、皮肉を込めたように唇の端を上げて笑った。


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