君に秘密の恋
「あれ?寝てたの?」


千鶴に呼ばれて部屋に入って来た紫が、あたしの姿を見てキョトンとした。


「あっ、うん……」


「千晶がこんな時間まで寝てるなんて、珍しいね」


紫は小さく笑って、床に腰を下ろした。


「あ、いきなり来ちゃってごめんね。まさか、寝てるとは思ってなかったから……」


申し訳なさそうな彼女に、あたしは笑顔を向けてから首を横に振った。


「それより、どうしたの?」


不思議に思いながら訊くと、紫がゆっくりと口を開いた。


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