君に秘密の恋
「あたしが千晶から貰った勇気は、出来る事なら千晶に返したいと思ってる」


「紫……」


「千晶には、絶対に後悔して欲しくないからね」


紫は最後にそう言った後、フワリと微笑んだ。


その笑みが全てを包み込むみたいに優し過ぎたから、何だか胸の奥がグッと熱くなってしまう。


同時に感じた鼻の奥の鋭い痛みを隠すように、唇をギュッと噛み締めてみたけど…


少しずつ視界がぼやけていった。


そして、あっという間にあたしの頬に一筋の涙が伝った。


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