君に秘密の恋
夕方になると、紫は虹希さんとの約束があるからと言って帰った。


ずっと胸の内に溜めていた気持ちは、涙を流せた事によって少しだけスッキリしたみたい。


朝よりも、心が軽くなった気がした。


「千晶〜!」


「何?」


千鶴に呼ばれて返事をすると、部屋のドアが開いた。


「ママが隣に夕飯持って行ってって」


昨夜の事があるから、一瞬だけ躊躇した。


だけど…


「わかった……」


あたしは戸惑いを押し退け、小さく頷いた。


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