君に秘密の恋
「入れば?」


いつもは言われない台詞に、すごく驚いた。


だけど…


あたしは小さく頷いて、健一の後に続いて中に入った。


「っつーか、お前、鍵持ってんじゃなかったっけ?」


「あっ、そっか……」


「何だ、それ」


呟いたあたしを見て、健一が怪訝な表情になった。


彼に言われるまで鍵の事を忘れていたなんて、自分で思っている以上に緊張しているのかもしれない。


緊張している事を自覚してしまったあたしの中に、更に緊張感が走り抜けた。


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