君に秘密の恋
いつも通りキッチンでお米を研いでいると、健一があたしの隣に来た。


「……な、何?」


隣から感じる視線に耐えられなくて、お米を研ぎながらぶっきらぼうに訊いた。


「別に……」


心臓が煩い。


こんなにもドキドキしたのは、何だか久しぶりな気がして…


胸の奥がギュッと締め付けられるみたいで、息が苦しくなった。


「ほら、邪魔っ!!」


あたしは、ドキドキと高鳴る胸を隠すようにいつもの口調で言って、炊飯器のスイッチを入れた。


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